インターネット検索大手Yahoo! を傘下に持つZホールディングスと無料通信アプリ大手のLINEが18日、都内で会見を開き経営統合すると発表した。月間利用者はYahoo! が6743万人、LINEが8200万人と、国内屈指の2社は同日に基本合意書を締結し、20年10月を目標に統合する。

統合話を6月から進めた裏には、北米と中国の2強の存在がある。経営統合後の時価総額は3兆円だが、米国最大手の98兆円、中国最大手の51兆円には遠く及ばない。LINE出沢剛社長(46)は「あらゆる企業がデジタル化する中で国益、文化にも影響する」と危機感を統合の理由に挙げた。一方、インターネットの高速化、AIの普及を想定し、人口減少による労働力不足、防災といった社会の課題を、AIを軸に解決していくという共通の志がもう1つのカギだと語った。

LINEは統合により、韓国のインターネット大手NAVERからソフトバンクの連結子会社となる。悪化する日韓関係の影響について聞かれると、Zホールディングスの川辺健太郎社長(45)は「心配はない。NAVERはアジアを代表するAIテックカンパニーを作ろうと(親会社の)ソフトバンクに譲ってくれた。世界の第三極に食い込んでいく」と意気込んだ。

両社長は社員に、統合まではライバルとしてしのぎを削るよう指示したという。川辺氏は「思い切り戦え、勝負し続けろと言った。現場は殴り合いながらチームワークを作るのが日本のため」と笑みを浮かべた。【村上幸将】