首相主催の「桜を見る会」をめぐる問題は、反社会的勢力の出席も焦点に加わり、さらに泥沼化した。野党は27日、追及本部の会合を急きょ開き、警察庁の担当者らを呼んで聞き取り調査を実施した。招待者選定の責任者である菅義偉官房長官の責任を問う構えだ。菅氏はこの日は一転「出席したとは言っていない」と主張。今国会会期末の来月9日に向け、追及と逃げ切りをめぐって、激しい攻防が必至だ。

国会内で開かれた追及本部の聞き取り調査は、冒頭以外は非公開で行われた。野党側は、警察庁の担当者らに対し、反社会的勢力の排除運動の取り組み状況や、政府として会への出席を確認したかどうかを尋ねた。反社会的勢力と疑われる人物と菅官房長官が会場で撮影したとされる写真も示したが、警察庁側は確認を避けた。

衆院法務委員会で警察庁の太刀川浩一官房審議官は「警察庁は名簿などを受け取っておらず、出席者の詳細は把握していない」と述べた。

立憲民主党の黒岩宇洋氏は「深刻な、闇深いステージに突入してしまった」と強調した。安住氏は「菅氏は大きな責任を負った。進退に関わる問題」とし、共産党の穀田恵二国対委員長は菅氏が反社会的勢力と同じ写真に写っているとして「芸能人なら社会的制裁を受ける」と指摘。吉本興業のお笑い芸人が、反社会的勢力主催のパーティーに参加して「闇営業」を行ったため、芸能活動を休止した例を出して問い詰めた。

安住氏は、自民党の森山裕国対委員長に、招待者名簿を調べる必要性が強まったとして電子データ復元への協力を要求した。野党は高齢者を相手にマルチ商法を展開し破綻した「ジャパンライフ」の元会長が招待を宣伝に悪用した疑惑の経緯についても追及していく。

菅氏は、自分が「桜を見る会」の招待者選定の責任者だと認めている。26日には反社会的勢力が出席していたとの指摘について「出席は把握していなかったが、結果的に入っていたのだろう」と発言した。27日の参院本会議では「(反社会的勢力が)招待されたかどうかも含め、個人情報であるため、従来から回答を差し控えている」と話し、記者会見では「写真があるなら、結果として会場にいたのだろうと言った。出席したとは言っていない」などと次々と言い方を変えて釈明した。

一方、与党は、来月9日までの国会の会期を延長しない方向で調整に入った。野党が求める安倍晋三首相出席の衆参両院予算委員会の集中審議には応じず、逃げ切りをはかる構えだ。時間との戦いの中、追及を強める野党に菅氏がどう対応するのか、注目される。