相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」で16年に45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の第8回公判が24日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で行われた。

   ◇   ◇   ◇

新潟青陵大・碓井真史教授(社会心理学) 被告は減刑してもらおうと反省の態度を示したり、心神喪失を装ったりするなどの計算はなく、思ったまま、感じたままに、本心を話しているのではないか。

マスコミとの接見に積極的に応じているのも、聞いてもらえるなら話したいと思っているから。むしろ話したがっているようだ。裁判でも注目され、水を得た魚のように思っていることを話して、主張が世の中に広がっていくことを歓迎しているように見える。知性は衰えておらず、責任能力はあると思う。

もとは非常識な人ではなかったはずだ。勤務先で特別トラブルは起きていないし、変わり者ではなく、乱暴なことも言っていなかったそうですが、あるころから変わった思想を持ち始めた。知性を持ち、普通の生活をしていたが、妄想部分だけがおかしい。

被告の場合、「私は天皇陛下の子供です」「若者の頭にはチップが埋め込まれていて乱暴な行動をする」といった類いの100%妄想かと言われるとそうでもない。“妄想的”な異常な思想、世界観と言える。日本社会の在り方に言及するまで、被告独自の世界観がさらに広がっているのではないか。

妄想的な世界観が広がり、ストーリーができているようだ。本来なら、裁判所で徴兵制について話す必要もない。そのあたりの感覚も鈍くなっているのではないでしょうか。