安倍晋三首相が抱える「桜を見る会」前夜祭の会計をめぐり、13年から3回会を開いた「ANAインターコンチネンタルホテル東京」が、立憲民主党の辻元清美幹事長代行の問い合わせに、首相の主張と矛盾する内容の回答を書面で寄せていたことが17日、分かった。辻元氏が同日の衆院予算委員会で指摘した。

広報担当の回答では、見積書や明細書を主催者に発行しないケースはなく、手書きで宛名が空欄の領収書も、発行しないと説明。参加者個人から会費形式で代金を受け取ることもないとしている。いずれも首相の主張と正反対の内容で、政治家や政治家関連の団体でも対応を変えたことは「ございません」と記されていた。

辻元氏は午前の質疑で、午後までに矛盾を調べるよう要請。首相はこわばった表情で応じたが、午後に質問に立った小川淳也氏に「あくまで『一般論』で答えたとのことだった。個別の案件は営業の秘密にかかわり回答に含まれていない」と、事務所を通じてホテル側が回答したと主張した。

ただ、首相はこれまで領収書は空欄だったとしてきたが「一般的に『上様』として発行することがあり、上様としていた可能性がある」と微妙に修正。いずれにしても同じホテルから2つの主張が生まれる、不思議な事態となった。

辻元氏は文書で質問し、ホテルも文書で回答。野党側は、首相もホテルに文書で返答してもらうよう求めたが、「辻元さんに言われたのは、確かめてほしいということで『書面で』という要求はなかった」と苦し紛れに反論。「あらためて書面にする考えはない」「私を信用できないなら予算委員会は成立しない」と強弁し、疑問は野党がホテル側に問い合わせるべきと、上から目線で訴えた。

首相はこれまでも明細書や領収書の提出に応じず、今回もホテル側の主張を口頭で述べ、文書提出は断固拒否。野党は「ますます怪しい」と焦点を定めた。首相はやじをとばした辻元氏に、思わぬ「反撃」を食らった形だ。【中山知子】