大阪の天王寺動物園は29日、例年なら春休みの学生や花見客であふれる園内が閑散としていた。新型コロナウイルスの感染拡大防止で、大阪府は外出自粛要請を出している影響もある。

園では消毒液や、手洗いの用ハンドソープを設置。せきエチケットを呼びかけるアナウンスなど対策を徹底。屋内の施設は閉鎖。屋外施設のみ開放し、密室ではないこと、換気がしっかりしていること、人と人との距離が保たれているという大阪府の条件を満たしていると判断。不安を感じながらも24日から営業再開していた。

それでも、来園者はまばらだ。公園事務所の中井康成課長代理は「普段なら、この時期は1万人程度来られます。しかし、昨日は968人でした」と説明。春休み真っただ中の日曜日、桜が見頃になる1年で最も人が集まる時期にもかかわらず集客は例年の1/10以下だ。

条件を満たしているとはいえ、ウイルスという、目に見えないものに対する不安もある。同課長代理は「大阪でも、東京のように(感染者が)増えていったら続けていけるかはわからない。楽しんでいただきたい一方で、複雑な部分もある」と心境を明かした。

沖縄から1歳の娘を連れて単身赴任の夫に会いに来たという30代女性は「子供がまだ小さいのでマスクができない。こういうところだったら来ることができるので助かります。(娘は)歩き始めたばかりで、動物にも少しずつ興味を持ってきているようです。トラに『ガオッ』って言ってました」と喜んだ。

中井課長代理は「体調には気をつけていただきたい」と呼びかけた。【南谷竜則】