鹿児島・奄美群島の南西部に位置する沖永良部島の和泊町では、新型コロナウイルスの猛威に、離島ならではの悩みを抱えており、6日、同町が取材に応じた。

沖永良部島は鹿児島市から南へ500キロ以上。飛行機で約1時間、フェリーで約18時間かかる。徳之島の南に位置し、人口約1万4000人で和泊町と知名町からなる島である。

島から、PCR検査で陽性反応が出たのは4月1日。3月23日に関西方面から帰島した20代の男性で、帰島後も友人と過ごすなど感染拡大の危険性があった。東京や大阪のように人口密集地は少ないが、まったく異なる不安がある。同町の南俊美保健福祉課長は「地域の絆が深いので、人が集まって家で集会を開いたりとか、感染が広がるリスクはある」と警鐘を鳴らす。

島には保健所がなく、情報の伝達、連絡が遅れることもある。医療機関も町内には3カ所の診療所があるのみ。隣の知名町に約130床の病院があるが、ウイルスに感染し、重症化した場合は、自衛隊のヘリで奄美大島まで搬送しなければならない。

島では感染者を確認後、町に対策本部を立ち上げ、防災無線で町民に正確な情報と予防策を周知してきた。不要不急の外出も控えるように要請し、これまでに感染者は1人に抑えられている。

南課長は「医療機関が大きくない。流行して感染者が増えた場合の対応は厳しいものがある。感染予防。ウイルスが入ってこない対策こそが必要」と語気を強めた。

観光地でもある島だが、空港やフェリーの発着場でも検温が行われている。危機的な状況を避けるため日々対策を練っている。【南谷竜則】