「難攻不落」の城として名高い神奈川県の小田原城。この季節、城内一帯を春色に彩る桜の名所だ。

この日は見頃を終え満開は見られなかったが、散り際も美しい桜。この時期にしか撮れない「桜吹雪と小田原城」に狙いを定めた。上空には雲がちらほら、風は強くない。満開のしだれ桜と散り際のソメイヨシノが、城を背にする堀の外から敵陣をうかがうような瞬間を狙い続けた。だが、さすがは「難攻不落」の城。簡単には撮らせてもらえない。日が差しても風が吹かない、風は吹けども日が隠れて肝心の桜と城が暗い。

同じく花吹雪を撮りに来ていた男性は「散り際は狙ってもなかなか撮れない。のんびり待つのも大事だよね」。焦る心を見透かすように声をかけてくれた。

瞬間を待ちながらさまざまな表情を持つ小田原城と桜を見られたが、狙った桜吹雪は撮れなかった。「今年は我慢の年だ。桜は逃げない。来年の満開の日をのんびり待つとしよう」と、負け惜しみを考えながら城の前から撤退した。

<撮影データ>4月10日午後0時15分撮影 キヤノン「EOS 1DX Mark2」 100-400ミリ(焦点距離255ミリ) ISO感度800 シャッタースピード2500分の1 絞り8