日本将棋連盟は緊急事態宣言の解除を受け、第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局を6月8日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行うと決めた。これにより、藤井聡太七段(17)の史上最年少タイトル挑戦の可能性が急転、再浮上することになった。

藤井は現在、渡辺明棋聖(棋王・王将=36)への挑戦権を争う決勝トーナメントでベスト4まで進出している。2日、同所で行われる準決勝で佐藤天彦九段(32)と対戦する。もう1局は、永瀬拓矢叡王・王座(27)対山崎隆之八段(39)。勝者は4日、同所で行われる決勝で対戦し、勝った方が挑戦者となる。

最年少挑戦記録は、屋敷伸之九段(48)が持つ17歳10カ月24日。7月19日に18歳となる藤井にとって記録を更新するには、6月11日までにタイトル戦に登場するというのが条件だった。

宣言延長による対局延期や長距離移動などの問題で絶望視されていたが、通常6~7月にタイトル戦5番勝負を行う棋聖戦の日程を調整。決勝トーナメント準決勝を同時対局とし、全員同じ条件で挑戦者決定戦に臨めるように配慮した。

渡辺棋聖は名人戦の挑戦者でもあり、4月に始まるはずが延期となっている豊島将之名人(竜王=30)との7番勝負をこれから戦う。タイトル戦の掛け持ちとなる。豊島名人は叡王戦挑戦者でもあり、やはり延期されている永瀬叡王との7番勝負がある。永瀬は豊島と叡王戦をこなしながら、例年なら9月に始まる王座戦5番勝負にも出る。藤井と豊島と永瀬は、4月に予定されていた王位戦挑戦者決定リーグ最終5回戦の一斉対局も控えている。その先に、例年なら6月には決まるはずの木村一基王位(46)への挑戦権争いがある。

将棋界は8つのタイトル戦の動向もにらみながら、まず棋聖戦から動きだした。挑戦者が決まった直後にタイトル戦を始めるという、前代未聞の日程が組まれたことで、最年少挑戦記録更新の可能性が残った。