例年、仮装姿の若者でごった返す東京・渋谷のハロウィーン。18年には軽トラックを横転させる事件が起こるなど、多くのトラブルが発生し、逮捕者も出ている。新型コロナウイルス禍で、クラスターが発生する可能性も懸念される中、渋谷センター商店街振興組合小野寿幸理事長(79)が22日、取材に応じ「例年以上に渋谷に来ないで欲しい」と呼び掛けた。

   ◇   ◇   ◇

「あれは変態仮装行列だ」-。小野氏は18年、仮装した若者でごった返し、トラブルが多発する渋谷をそう酷評した。トラブルを減らすため、路上飲酒を禁じる条例を施行した19年でも、逮捕者は出た。商店街にとっては、商売もできなくなり、ごみも散乱されるというイベントは「アレルギー」だという。

そして20年。特に今年はコロナ禍で、3密を避けることが推奨されている。26日から、区公認の仮想空間イベント「バーチャル渋谷」が開催され、仮装コンテストや、歌手きゃりーぱみゅぱみゅらによるライブなどが楽しめる。区が後援となり、マスクやデジタルツールを利用し来訪自粛を促す「今年は集まらないハロウィーンを。」プロジェクトも進んでおり、街全体で今年は密を避けようという動きが進んでいる。

小野氏によると、渋谷ではこれまで新型コロナのクラスター発生の報告がないといい、ハロウィーンでクラスターが発生しないか、強く危惧している。小野氏はコロナ禍でのインバウンドの減少で、例年より渋谷を訪れるハロウィーン客は減ると予測している。だが、一方で「『来ないで』と言われても、自粛を無視し、多くの人が来ることを懸念している」と話す。

区公認の「バーチャル渋谷」の取り組みについては「結果が出ればいい」と期待はする。ただ、例年の地元の被害が深刻なだけに「ハロウィーンは渋谷区主催でもなく、みんなから愛されているイベントでもない。『バーチャル渋谷』で、来年は実際に渋谷に行きたいと思わせる映画の予告編のようにもならないか」と心配もつきない。【佐藤勝亮】