全国1266店の営業展開するモスバーガーを運営するモスフードサービス(東京・品川区)は10日、都内で「ウィズコロナ」の新時代を生き抜くことを意識した新バーガーを発表した。年末年始にかけて、ちょっとゴージャスな期間限定の新バーガーを2段階に分けて販売する。新商品のキャンペーン期間は今月19日から来年2月上旬まで。

この会見では、登場から12年目となるバンズからパティがはみ出る「とびきりシリーズ」の新作が公開された。10日の試食発表会まで「味わう贅沢(ぜいたく)」と紙資料で説明するだけで、試食会が開かれるまで、どんなに質問をぶつけてもその全容に近づくことができなかった。

どんなバーガーなのか?

モスフードサービスでは、このコロナ禍で外部の環境調査を元にして仮説を立ててみた。(1)コロナ禍を経て外食意向が高まったが、頻度は減少した(2)「GoToEat」などで外食単価が上昇し傾向は「プチ贅沢」へ(3)「家ではできない調理」「食材の品質」「ストーリー」といった外食ならではの贅沢要素が求められる価値として浮上(4)免疫意識や栄養バランスなど食の健康意識も一層好調だった、などと分析したという。

結果、モスフードサービスが導き出したのは「新常態下の食意識に合わせた“ニューノーマルな贅沢”」。新しい贅沢になぞらえて、キャンペーン期間のテーマは「日本を元気を“チャージしてGO!”」ということになった。

新バーガーを説明する会見中に突然、取材する記者ら全員に液体2つの入った容器が配られた。新バーガーと合わせるソース2種だという。

1つは19日から12月上旬に使う「赤ワイン&ビネガー」、もう1つは2021年1月5日から2月上旬までに使われる「スパイス&デミ」。

「赤ワイン-」にはフルーティーなさわやかな味わいと4種のビネガー(バルサミコ酢、黒酢、白ワインビネガー、ラズベリー酢)がブレンドされて、イチジクペーストも隠し味として混入されている。

「スパイス-」は口に放り込んでしばらくすると深くてコクのある辛さが追いかけてくる。切り干し大根やゴボウが使われて、引き立つ辛みの陰にあんこが味を調える役として使われている。

北海道産のゴーダチーズ、バラではなくロースの豚肉をつかったくん製ベーコン、通常の1・8倍の大きさの牛と豚の合いびき国産肉のパティはファストフードとの内容としては、高級感にあふれている。キャンペーン期間中に2種の全く方向性の違うソースを使う意味は一体何なのか?

モスフードサービス上席執行役員の安藤芳徳マーケティング本部長は「なんとなくではなく、考えに考えた“意味商品”がウケる時代になってきている」と新商品について前置きし「通常であれば、コスト面や作業効率を考えると期間限定の商品で2つのソースは使わない。当初はこの2つの中からどっちかに決めようとなった」と断じた上で「でも、甲乙つけがたいので、どっちも採用となった。順番はクリスマスがあるから年内を赤ワイン、おせち料理に飽きたころに味のとんがっているものをということで後半がスパイシー」と、期間限定商品では初めてとなる2種のソースの起用について説明した。

テレビCMも2020年用と新年用で2種をつくった。欧米系の女性が店舗内でバーガーを食べると元気が出て、店舗の壁面を体当たりをして打ち破り、その後ろ姿に店員が「またの来店を」と声を掛けるというもの。細かい描写ではあるが、新年用のCMには第1弾の「赤ワイン-」のときに打ち破った壁部分の穴が補修されて映っているという細かい作り込みまでされている。

今回は新型コロナウイルス対策で「脱巣ごもり」を宣言して、各店舗にウキウキしながら訪ねてもらえる商品考案を機軸とした。バーガーだけではなく、フィリピン産のバナナをピューレ状にしてヨーグルトと合わせて、飲む際には牛乳とストローでぐるぐるする「まぜるドリンク バナナオレ」。スイーツではカカオ23%の濃いチョコレートを使った「ひんやりドルチェ なめらかチョコ」を冷凍させたまま提供するという実験的な販売方法も取り入れている。

さらにこの期間中はバーチャルアイドルの「リラックマ」とコラボして、店内で飲食する際のトレーマットにリラックマとその仲間が登場する。また、子ども向けセットのオモチャとして「ぷくぷくシール」「ポップアップカード」「マグネットシート」「ばんそうこう」の4種から選べるようになっている。子ども向けメニューだが、リラックマファンの大人が殺到しそうな商品になりそうだ。