小泉進次郎環境相は26日、都内の日本記者クラブで講演し、2050年までの脱炭素社会実現に向けて描く日本の戦略について語った。「脱炭素は世界最大の成長産業だ。脱炭素に向けた技術競争など、これほど世界一丸となって向かっている分野はない。この分野で稼がないで日本は将来どの分野で稼ぐのか。脱炭素社会とは、環境を犠牲にすることがない経済社会を構築することだ」と述べた。

「新型コロナウイルスから復興するに当たり、元の経済社会に戻すのではなく、脱炭素社会、循環経済、分散型社会への移行という『3つの移行』が必要だ」と指摘。国民が身近にとらえられる脱炭素社会の政策の1つとして、「住宅の脱炭素化」を挙げた。

日本で冬場に年間で最大2万人が、ヒートショックが原因で風呂場で亡くなっていることを踏まえた住宅の断熱リフォームをはじめ、コロナ禍で在宅時間が増えたことによるエネルギー消費量増加を受け、省エネ家電への買い替えを促すことなどを盛り込んだキャンペーンを、この日から来年3月31日まで行うことを紹介。「コロナで住宅にいる時間が増えている。より快適な生活を実現し、救える命を救うためにも、住宅分野の脱炭素化を後押したい」と述べた。

進次郎氏は「2050年までにカーボンニュートラルという目標が高いのは、そのとおりだ」と認めつつ、「経団連会長を務められた豊田章一郎さんは、『あの時、高い排ガス規制があったことが、結果として今のトヨタをつくった』と言われた。私は日本の力があれば『2020年にカーボンニュートラルを掲げたことが、人口が減っても日本が発展する道を切り開くスタートになった』と、2050年に振り返られると確信している」と述べ、地道に対策を進める必要性を強調した。