兵庫県西宮市の西宮神社は16日、政府が観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を決定したことを受け、来年1月10日に開催予定だった伝統神事「福男選び」の中止を発表した。

同神社担当者は「Go Toの停止など、国からの方針に準じての判断となった」とした上で「残念ではありますが、遠方からいらっしゃる方も多く、人の移動を抑制することも必要」と説明。「昭和41年と42年に、お祭り事の事故が相次いだことで警察からの指導があり、警備の関係で中止になった記録が残っております」といい、1967年(昭42)以来、54年ぶりの中止の決断となった。

午前6時の表大門開門と同時に、本殿までの約230メートルを走り参りで競い、上位3人を福男に選出する恒例行事。当初は「新型コロナ終息祈念」と銘打ち、規模縮小で開催する予定だったが、急きょ方針を転換した。毎年数千人の参加者の中から、くじ引きで最前方集団258人を決めていたが、今回は密集を避けるために15日までの応募者から80人に限定して選ぶ予定で、17日に本殿で抽選会を行うはずだった。

参加者に配布予定だった「開運爽福マスク」は、すでに作成済み。巾着などを含めて販売し、売上金は例年通り東日本大震災の義援金とする。「午前6時に通常通り門は開きます。日にちをずらしていただいたり、少ない時間での参拝を呼びかけております」(担当者)。当日の午前0時から同6時まで境内で行われる「忌籠(いごもり)」神事は実施する。【鎌田直秀】