新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況になる中、東京・豊洲の東京中央卸売市場で5日、初競りが行われた。近海で取れた注目のクロマグロは1匹で億単位となる取引はなく、1キロ当たり10万円、2084万円が最高値という、「妥当なご祝儀相場」で落ち着いた。不要不急の外出を控える波が市場を包み込み、一般の競り場は人気はなくガラガラ。本来なら景気のいい初競りだが、コロナの猛威で例年とは違うさみしい幕開けとなった。

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例年大きな取引をするすしチェーン「すしざんまい」を運営するつきじ喜代村の木村清社長(68)は、おとなしかった。競り前には切断された尻尾を次から次に目利きして競合しないマグロを選別し「自粛しました。まずはお客さんに喜んでもらうマグロを手に入れることが先決」と、ニヤリ。151キロの大間産、キロ単価2万円の302万円で落札したのをはじめ、10匹をおさめて“ケンカしない”競りに徹した。