新型コロナウイルスに自身も感染した立憲民主党の小川淳也衆院議員が25日、闘病体験を引き合いに政府を追及した。

コロナウイルス対策や経済対策などを盛り込んだ本年度第3次補正予算案を審議する衆院予算委員会がスタート。小川氏は質疑で国会議員9人目の感染者となった自民党の石原伸晃元幹事長の事例を引き合いに政府与党のコロナ対策に関する危機管理の甘さなどを厳しく指摘した。

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新型コロナウイルスの感染症を自ら経験した国会議員による初の質疑で舌戦の応酬となった。小川氏は自民党の石原伸晃元幹事長をやり玉に挙げた。22日に感染が判明した石原氏は前日21日に自らの派閥の会合で坂本哲志1億総活躍相らと会食していた。小川氏は「てっきり濃厚接触者で来ないのか、と思っていました」と問いただすと、坂本氏は「(席を)2メートル以上離して対面式ではなく、マスクをして、食べる時だけマスクを外した。PCR検査を受け、保健所から濃厚接触者ではないと認定された」などと釈明した。

小川氏は「にわかに信じ難い」と反発。「こういう不用意な会食をこの期に及んでする人たちが、会食時以外、用意周到に本当にマスク着けたんですか? この期に及んで閣僚が会食している。更迭すべきじゃないですか」と、強い語気で菅義偉首相に迫ったが「坂本大臣の発言を信じてますから更迭することは考えていない」とかわした。

感染判明から即座に入院した石原氏には、一部報道で疑問の声もあり、小川氏が引用した。「あれだけ会食ダメ、と言っておきながら自分たちだけは特権かよ。症状ある人が入院できないのに何で無症状で即、入院できるんだ。という声もある」と述べた。そして「入院できない。自宅で亡くなっているという方々が多発している状況の中で、国政にたずさわる、しかも自民党の大幹部が、こういうことだと疑念が生じるのも無理はない」と切り捨てたが菅氏は「1つのご意見として受け止めさせていただく」と短く答弁するなど防戦一方だった。

小川氏は昨年11月17日に感染が判明し、11日間入院した。「近所のクリニックで検査を断られ、東京都の相談センターに紹介された最も近いクリニックまで39度の発熱の中、約1キロ徒歩で移動した」など生々しく訴えた。小川氏は感染判明前日の発熱した16日に田村憲久厚労相ら3閣僚に面談している。田村氏にPCR検査の実施を問うと、田村氏は「個人情報になる」などとして回答を拒否した。一方、坂本氏は答弁でPCR検査について明言。検査の公表に関する認識や解釈が閣僚によって異なるなど、与党の足並みの乱れが目立つ中、野党の追及が続きそうだ。【大上悟】

◆国会議員の新型コロナウイルス感染 昨年9月18日に陽性確認された高鳥修一衆院議員(自民)が第1号。11月に桜井充参院議員(無所属・自民会派)、小川淳也衆院議員(立民)が感染した。12月には渡嘉敷奈緒美衆院議員(自民)、竹本直一衆院議員(自民)、羽田雄一郎参院議員(立民)、清水忠史衆院議員(共産)が感染し、6人目の陽性者となった羽田氏は12月27日、病院に向かう途中に容体が急変し、国会議員では初の死者となった。今年1月19日に安藤高夫衆院議員(自民)、22日に石原伸晃衆院議員(自民)の感染が確認され、国会議員の感染者は9人となった。