2019年参院選広島選挙区をめぐる公職選挙法違反事件で、懲役1年4月(執行猶予5年)の有罪判決を受けた参院議員河井案里被告(47=自民党を離党)が3日、辞職した。4日の控訴期限直前で、国会での説明は一切しないまま表舞台を去る。昨年6月の逮捕後に受け取った歳費など計2000万円あまりの原資は、国民の税金だ。案里議員を参院選で公認した自民党の責任は重い。菅政権にとっても、不祥事の連鎖が止まらない。

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案里議員の議員辞職による参院広島選挙区の補欠選挙は、衆院北海道2区、参院長野選挙区と同じ4月25日投開票で実施される。昨年9月の菅政権誕生から初の国政選挙となるが、自民党は旗色が悪い。

広島では自民内で候補擁立への動きも出ているが、擁立できたとしても逆風は必至で、苦戦が予想される。北海道2区は収賄容疑で在宅起訴された吉川貴盛元農相の議員辞職に伴うもので、自民執行部は早々と候補擁立を断念。長野は、昨年12月に新型コロナウイルス感染症で急逝した立憲民主党の羽田雄一郎元国交相の死去に伴うもの。自民党は小松裕氏の擁立を決めたが、羽田氏の後援会は「弔い合戦」に実弟の羽田次郎氏の擁立を決定。羽田王国とも呼ばれる地盤は盤石だ。秋までには行われる衆院選を前に、自民党には試練の3補選となる。