囲碁の最年少プロ、仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(11)が11日、大阪市の関西棋院で打たれた「第8期会津中央病院・女流立葵杯」予選準決勝で叔母(おば)の辰己茜三段(38)と対戦した。

叔母とは練習対局の経験はあるが、公式戦では初対局となった。対局は午後4時16分、291手で白番の仲邑が5目半勝ちし、本戦出場まであと1勝とした。

姪(めい)VS叔母対決。辰巳は仲邑の母・幸さんの妹。仲邑が中盤からリードを広げ、叔母から初白星を挙げた。終局後、仲邑は「中盤に優勢を意識し、少し手が緩んでしまい苦しくなったと思いましたが、終盤、黒2子を取れた辺りで少し良くなったと思います。次の対局も頑張りたいです」とコメントした。

叔母と初めて打ったのは3歳4カ月のときだった。元囲碁のインストラクター幸さんが埼玉県内で囲碁の道場をやっていた。辰巳が東京に対局に行ったときに、幸さんから「ちょっと教えにきてくれないか」と頼まれた。

かつて日刊スポーツの取材に応じた辰巳は当時の様子について「衝撃を受けた」と振り返った。「3歳半にもなっていなかったのに、ルールは完璧に分かっていた。石取りだけができるならまだしも、陣地もわかっていた。最後、終局して数えるところまでできた。そもそも3歳で碁ができる子もあまりいない。3歳でしっかり理解して終局までいった子は初めてだった」。

仲邑は、日本棋院が世界で戦える棋士を育成するために新設した「英才枠」で19年4月、史上最年少の10歳0カ月でプロ入りした。プロ入り後、叔母は対戦できる日に心待ちにしていた。「すごく楽しみ。早くタイトルとって世界一になってほしいですね。大げさに言っているのでなく、いまのところ、同い年ぐらいでは、だれにも負けないぐらい世界一に近い実力がある」と話していた。

仲邑は今春、小学校卒業とともに、拠点を大阪から東京に移す予定。【松浦隆司】