菅義偉首相の長男らから高額接待を受けていた山田真貴子内閣広報官が1日、辞職願を提出し、受理された。山田氏は前日2月28日に体調不良で入院、加藤勝信官房長官に「職務遂行が難しい」と報告した。菅首相は「国会審議の極めて重要な時期に広報官が職を辞す。国会をはじめ、みなさま方にご迷惑をおかけしたことを大変申し訳なく思います」と陳謝した。

注目の主役が、突然の降板劇となった。参考人として再招致されていた衆院予算委員会を欠席。辞職手続きの影響で約30分遅れた集中審議の衆院予算委員会は肩すかし感が広がった。

山田氏は2019年11月、総務省の官僚時代に菅首相の長男らから単価7万4203円の接待を受けた。前回の参考人質疑では放送事業の許認可権を持つ総務省幹部が一事業者に便宜を図った疑惑などの根幹部分は「記憶にない」などとしたが、菅首相の長男と認識していたが、接待の場に「同席していたか、どうか分からない」としたり、「横並びだったので会話をしていない」など、整合性にほころびも見え隠れし、防戦に限界も感じさせていた。

菅首相は「期待を込めて、任命をしました。そういう中で、このような形で辞任されることは大変残念であります」としたが後任人事は「現在、検討中」と、新型コロナウイルス対策と同様、またしても後手の印象をぬぐえない。それでも「私はそのようには思っておりません」と否定した。肝いりで誕生させた初の女性内閣広報官は、在任166日で去った。山田氏の辞職で幕引きを図りたい政権だが、ダメージは、さらに深刻化しそうだ。【大上悟】