トランプ前米大統領が7日、今年1月の退任後初めてニューヨークに「帰郷」したが、出迎えた支持者はたった1人でさみしい帰郷になったと、ニューヨーク・ポスト紙が報じた。

ニューヨーク出身のトランプ氏。大統領に就任する前はマンハッタンの5番街にあるトランプ・タワーに居住していたが、2019年に居住地をフロリダ州パームビーチに移転。退任後はパームビーチにある別荘マー・ア・ラゴで、メラニア夫人と息子バロン君とともに暮らしている。

午後9時ごろ、トランプ氏を乗せたSUVが建物周辺の警備にあたっている大勢の警察官が見守る中、トランプ・タワー前に到着したが、沿道に支持者の出迎えはなく、1人の男性が遠巻きに「トランプ大統領、お帰りなさい」と叫ぶ声だけが響いていたという。同紙は後部座席から唯一の支持者に手を振るトランプ氏の様子を伝えている。

パームビーチでは外出時には大勢の支持者が米国旗を手に出迎えて声援を送る場面が見られたが、大統領在任中に度々抗議活動が行われてきたニューヨークではまったく歓迎されていないようだ。それでも翌朝には少数の支持者が集まっていたというが、同時にトランプ大統領の格好をした巨大なネズミのふくらませた人形や「トランプを逮捕しろ」「フロリダへ帰れ」などと書かれたプラカードを手に抗議する人の姿も見られた。

今回のNY訪問は、息子2人が運営する企業トランプ・オーガニゼーションの状況を把握するためだとニューヨーク・デーリー・ニューズ紙は伝えている。トランプ・オーガニゼーションは税務処理の不正疑惑など広範囲で長期的な犯罪行為の可能性でニューヨーク検察当局の捜査を受けている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)