東日本大震災の発災から今日11日、丸10年となった。

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東日本大震災の津波で児童74人、教職員10人が死亡、行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校で、次女・真衣さん(当時小6)を亡くした鈴木典行さん(56)は、東京オリンピック(五輪)の聖火ランナーとして地元を走る。震災の風化を少しでも防ぐことが目的だ。

新型コロナウイルスの影響で五輪が1年延期に。その後、国民の支持率が下がる中「国民が喜べない大会なら辞退しようかな」と一時は迷った。しかし、原点に立ち戻った。コーチと部員の関係でともにバスケットボールに励んだ真衣さんとともに走りたい。

生きていれば大学4年生で「学校の先生が夢だった。残念だろう…」と鈴木さん。2年前には小学時代の写真をデジタル加工し、成人した真衣さんの写真を作成したが「やっぱり自分の中では、成長していないんですよね」と、20歳の娘を思い描けなかった。

発災から10年がたっても土日の多くは、大川小で伝承活動を続ける。走行日は6月19日。震災当日、娘が自宅に忘れていった名札を身に着けて地元石巻に聖火を照らし、被災地の今を伝える。【三須一紀】