日刊スポーツでは「パワーアップ2021 上向きニュース21選」と題した企画で、気持ちが高まるパワーアイテム、ワードなどを紹介しています。

第8回は「デジタル森林浴」。IT技術を活用し、都会であたかも森林の中にいるような疑似体験ができる新しい形のパワースポットです。

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デジタル森林浴は、視覚や聴覚、嗅覚などを使って大自然の癒やしを感じる新しい試みだ。北海道十勝郡浦幌町の森林の映像を、部屋の四方の壁と天井に切れ目なく映し、鳥のさえずりや木々が揺れる音をスピーカーで流す。香りは北海道の林業の試験場で制作。キタコブシやエゾマツなど天然の木や葉から精油(エッセンシャルオイル)を抽出したものを使用する。かんきつ系の爽やかな香りが広がり、リラックス効果を促進させる。

記者もデジタル森林浴を体験した。部屋に入った途端、のどかな景色が広がる。ゆとりのあるアウトドアチェアに座り辺りを見回すと、木々が力強く生えているのがわかる。映像はリアルに映し出され、天井からは優しい木漏れ日が差してくるようだ。目をつぶると、鳥の鳴き声や木々の香りなど全身で森林を感じられる。15分ほどのお試し体験だったが、都会にいることを忘れてしまうほど、心身を癒やすひとときとなった。

手掛けたのは浦幌町のIT企業「フォレストデジタル」。辻木勇二代表取締役(50)は「コロナ禍の都会で、ストレスを抱えている方、年配の方や足が悪い方などに、北海道の自然を感じていただきたい」と語った。

普段は、同町にある「Uralaa park urahoro(うららパーク浦幌)」で体験できるが、2月11~14日には東京・銀座アートホールで期間限定で無料開催、今年の秋にも再び都内での開催を予定している。辻木氏は「いずれは東京で常設を目指したい」と意気込んでいる。駅や病院への導入を視野に入れ、デジタル森林浴の一般化を目標に掲げる。技術面に関しては「空中にチョウが飛んでいる映像を流したい」と展望を広げた。

辻木氏は「テクノロジーで、心を健康にしてリラックスしてもらいたい」とした上で「デジタルからリアルへ、その場所に訪れたいという気持ちの後押しをしたい」と力を込めた。【沢田直人】