24日に亡くなった柔道家の古賀稔彦さんは、出身地の佐賀県で5月10日、東京大会の聖火ランナーとして出生地のみやき町を走ることになっていた。リレー走行がかなわなくなったことで、県は聖火ランナーの代理選定協議に入った。

古賀さんは新型コロナウイルス拡大の影響で東京大会が1年延期されたことを受けて、今年2月に新たな聖火ランナー44人が発表された際に、メンバー入り。5月10日の昼ごろ、町内の約200メートルの区間を、トーチを手に駆け抜ける予定だった。

佐賀県の担当者によると、古賀さんが聖火ランナーに選ばれたのは、2018年から県が推進する「SAGAスポーツピラミッド(SSP)」構想のよき理解者だったことが大きいという。このプロジェクトは、世界で活躍したトップアスリートを指導者に迎えて小学生くらいからの指導を充実させ、県の若いスポーツ選手を世界に羽ばたかせるという内容。どんなスポーツを選べばいいか迷っている小学生の指針になるように、反復横跳びなど8つの簡単なテストを数値化し、80種あるスポーツの中からAIが個人個人に向く5種目を提案する活動「サガスカウト」も始まっていた。

古賀さんは2年前の山口祥義知事との対談で、SSP構想について「ワクワクしている」と話し、世界に通用する柔道家の育成に意欲をみせていたという。山口知事は県の会議で「残念です。心からご冥福をお祈りする」と、早すぎる死を悼んだ。【寺沢卓】