奈良県のトップを元巨人の内野手だった鈴木康友氏(61)が快走した。長打力のある大型遊撃手として名門天理高からドラフト5位で、当時の長嶋監督の強烈なラブコールに折れて大学進学を断念してプロ入り。13年の現役生活でチームの勝利をつなぐ内野のバイプレーヤーとして活躍した。引退後は指導力の腕の高さを買われてプロ5球団、独立リーグ3球団でコーチとして若手を育ててきた。

3年前、白血病に移行する恐れのある骨髄異形成症候群という血液のがんに罹患。16年に生まれた赤ちゃんとそのお母さんをつないでいた「へその緒」から細胞の移植手術に成功した。白血病を克服した競泳の池江璃花子(20)が日本選手権で4冠に輝き、東京五輪で日の丸を背負うことに触れ「この病気は治療が大変で、つらいんです。池江さんすごい。退院してからまさか1年でね。大変だな、治療は大変だよ、と思っていたが、(選手権の泳ぎを見て)涙が出てきます」と話した。

24年パリ五輪では野球の競技枠がなくなってしまうが「東京五輪での金メダル、取ってほしい」と野球界の発展を願ってトーチを抱きしめた。

◆11日の聖火リレー 奈良・五條市からスタートして、12日までの2日間で192組197人が19市町村を駆けめぐる。11日は十津川村でタレント松井絵里奈(33)、天理市で84年ロス五輪柔道男子60キロ級金メダルの細川伸二氏(61)が沿道に手を振った。橿原市では、モンベル創業者で登山家で冒険家辰野勇氏(73)、64年東京五輪競泳女子100メートル自由形に出場した東美代子氏(75)が最終ランナーとなった。

12日は、落語家笑福亭鉄瓶(42)が故郷の香芝市を走る。大和郡山市を聖火ランナーでは最高齢109歳の賀川滋子氏、最終区の奈良市では東京五輪の公式映画でカメラを回している映画監督河瀬直美氏(51)が聖火を受け継ぐ予定。