新型コロナウイルス対策で支給される、持続化給付金や家賃支援給付金の対象から、性風俗事業者を外したことは、法の下の平等に反し違憲だとして、大阪でデリバリーヘルスを経営する事業者が、国や給付金の事務局業務を担う企業2社に訴訟を起こしている。

第1回口頭弁論が4月15日に東京地裁で開かれた。原告側の平裕介弁護士によると、性風俗事業者が給付金を巡る訴訟を起こしたのは初めて。国に慰謝料など計約446万円を求めている。昨年4月の緊急事態宣言の発令に伴い、大阪府が休業要請をしていた施設の1つに、デリバリーヘルスは含まれており要請に従っていた。訴状によると、9月に持続化給付金と家賃支援給付金を申請。1カ月の売り上げが前年同月比で50%以上減少など、用件を満たしていたが、いずれも受給ができなかった。

国側は答弁書で「性風俗業は、性を売り物にする本質的に不健全。給付対象から除外するのは合理的な理由」などとして、争う姿勢を示した。災害時を例に挙げ、一貫して公的支援や国の補助制度の対象外としているとして「国庫からの支出により、事業の継続ないし再起を目的とした給付金を支給することは、国民の理解を得ることが困難である」と指摘した。

原告の性風俗事業者は、適正な確定申告をしていること、反社会勢力と関係がないこと、風営法などを順守し業務を行っていることなどを主張している。平弁護士は「違法な営業を行っていないのに除外されている。行政の裁量権を逸脱し、乱用だ」と語った。原告の経営者は、裁判の支援金などを呼び掛けている団体のホームページで「コロナの影響は国民全体が受けています。『この職業だけは助けない』と国が決めることは、命の選別であり職業差別だと言えます」とコメントしている。【沢田直人】

 

◆持続化給付金と家賃支援給付金 新型コロナの感染拡大による営業自粛等で、大きな影響を受けている事業者に対し、国が事業の継続や家賃の負担を軽減する給付金。対象はひと月の売り上げが、前年同月比で50%以上減少しているなどの条件を満たす事業者。持続化給付金は中小法人等に最大200万円、個人事業主等は最大100万円。家賃支援給付金は法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円が給付された。