渡辺明名人(棋王・王将=37)が初防衛を果たした。28日午前9時からの2日制で行われた、将棋の第79期名人戦7番勝負第5局(神奈川県箱根町「ホテル花月園」)は29日午後6時37分、94手で後手渡辺が挑戦者の斎藤慎太郎八段(28)を下した。初戦は落としたが、その後4連勝で防衛した。「大変な将棋が多かった。結果を出せてうれしく思います」。

タイトル獲得を計29期とした渡辺は前期、当時の豊島将之に挑戦し、36歳で初の名人を獲得した。今年1月4日、初仕事となった都内のスタジオでの将棋番組収録の際、「世間的に先が見えないスタートとなった。長期的なビジョンというより、目の前のことをこなす。3つのうち、いくつ守れるか。全部守れれば大成功」と、話していた。

1月10日から始まった王将戦は永瀬拓矢王座(28)に4勝2敗、2月6日からの棋王戦も糸谷哲郎八段(32)に3勝1敗。名人も合わせて3冠を堅持した。

6月6日には、第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局(千葉県木更津市「竜宮城スパホテル三日月」)が始まる。前期と立場を入れ替え、藤井聡太棋聖(王位=18)に挑戦する。「防衛戦が終わったら休みたいと思っていた。挑戦はうれしい誤算。休むなんて言わず、もう1カ月頑張りたい」。【赤塚辰浩】