東京都、北海道などで緊急事態宣言が延長され、沖縄県を含む10都道府県が6月20日まで継続されるが、東京都では6月1日から映画館、博物館、動物園などに求められていた休業要請が一部緩和され、営業を再開する。人数上限5000人かつ収容率50%に加えて営業時間短縮の制限はあるが、国や都に生活必需に認められなかった娯楽が、38日ぶりに選択肢に加わる。

4月25日から休業要請に従ってきたサンシャイン水族館(池袋)も準備は万端だ。5月31日、丸山克志館長(57)は「生き物のこと、命のことを感じてもらう施設。動物たちの飼育もスタッフの体調もしっかり管理してきた。バタバタした感じはありません。やっと開始できる」。感染予防対策として、チケットは事前購入の日時指定で再入場は不可。年間パスポートが休業期間に1日でもかかっていれば有効期限を一律3カ月間延長する対応も行う。休業中は、5月9日に生まれたカリフォルニアアシカの赤ちゃんの様子や、2月誕生のコツメカワウソ3姉妹の成長などを、SNSで発信。館長も「アシカもカワウソも他の生き物も、予防対策をした上で楽しんでほしい」と期待した。

日本最古の東京国立博物館(上野)では、特別展「国宝鳥獣戯画のすべて」を20日まで延長して開催。日時指定の前売り券販売に予約が殺到し、サイトが一時つながりにくくなるほどの人気ぶりだ。先月24日には日本映画制作者連盟が映画館再開の要望についての声明文を出した映画界。都内に13カ所あるTOHOシネマズも、上映前の飲食を控える呼びかけなどもしながら再開する。

TOHOシネマズ新宿店前にいた都内在住40代男性は「動物園ダメ、映画ダメ、旅行ダメ。今回の延長は少し緩和したこともあるのか、個人的には『緊急事態』の感覚が鈍ってきている。息子が『名探偵コナン』の映画を見たいと言っているので、予防して連れていきます」。水族館も博物館も映画館も過去のクラスター発生はない。措置対象の是非を再び考えさせられる再スタートだ。【鎌田直秀】