東京都議選(7月4日投開票)では、新型コロナウイルス感染で自宅、宿泊療養している有権者のため、全国初の「特例郵便投票」が実施される。

特例法が18日に公布され、保健所から外出自粛要請や、ホテルなどの宿泊療養施設に入所、または海外から帰国してホテルなどで待機している有権者が対象となる。

対象者は東京都選挙管理委員会(選管)のホームページから投票用紙の請求書をダウンロードか、各区市町村の選管で入手し、外出自粛要請などの公的書面とともに各選管に郵送する。請求は投票日4日前の30日午後5時必着。選管は保健所に本人確認などした上で対象者に投票用紙を速達で郵送する。投票用紙と、選管宛ての速達返送用封筒が同封され、各選管は投票日の7月4日午後8時必着で受け付ける。

都選管では対象有権者を「流動的ですが、自宅療養者と施設療養者を合わせて約1万5000人程度と推測している」としているが、周知期間の短さも含めて問題的も浮上している。総務省では「投票請求書や投票等を投函(とうかん)する際には同居人、知人等(患者ではない方)にご依頼ください」としているが、1人暮らしで近くに知人がいない場合は、投函のために外出することになりかねない。

集配する郵便局員や選管職員の感染対策として請求書や投票用紙を入れた封筒は、ファスナー付きの透明ケースなどに入れての投函を要請するが、都選管では総務省や保健所との協議に「かなりの労力を割かれた」と急な対応に追われ、運用面に課題が残る。

他人の投票に対する干渉や、なりすましなどの不正行為も懸念される。公職選挙法では投票干渉罪(1年以下の禁錮または30万円以下の罰金)、詐偽投票罪(2年以下の禁錮または30万円以下の罰金)が規定されている。感染状況が好転しない場合には秋までに実施される次期衆院選でも特例郵便投票が適用される可能性もあり、コロナ禍の特例郵便投票の第1弾として注目される。【大上悟】