将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太王位(棋聖=18)が豊島将之竜王(叡王=31)の挑戦を受ける、第62期王位戦7番勝負第1局が29日、名古屋市の名古屋能楽堂で行われ、午後6時すぎ、後手の豊島が48手目を封じて1日目を終えた。ともに愛知県出身の史上初の“尾張対決”。持ち時間各8時間のうち消費時間は藤井が4時間2分、豊島が3時間16分。形勢はほぼ互角。若干、豊島が優勢とする見方もある。

対局会場となる名古屋能楽堂の「本舞台」。午前9時、立会人の青野照市九段(68)が定刻になったことを告げると、お互いに深々と一礼し、対局を始めた。先手の藤井が相掛かりの戦型を選択した。

藤井はダブル防衛戦となる棋聖戦5番勝負は6日に開幕し、第2局を終えて2勝0敗と王手をかけている。7月25日に始まる叡王戦5番勝負では、豊島への挑戦を決めたばかり。豊島とは2つのタイトル戦で最大12局を指す「真夏の12番勝負」が繰り広げられる。

開幕局は互いに相手の端攻めを受けず際どい攻防が続いた。豊島には過去の対戦成績で1勝6敗と大きく負け越している藤井だが「気にせず、盤上に集中したい」。前日会見の言葉通り、開幕局では1歩も引かない強気な攻めを見せた。藤井が歩を突き合わせながら前へ出ると、豊島は端から反撃。両者の「強気」が盤上で激突した。

29日の名古屋市の最高気温は31度。藤井はご当地の「なごやめし」で栄養補給した。勝負メシは「海老天ころうどん&いなり寿司」。冷たい麺に冷たいつゆをかけた名古屋生まれのうどんが「ころうどん」。食感は表面がつるっとし、のどごしは最高。麺好きで知られる藤井には午後の熱戦へ向けたクールダウンには最高の昼食だった。2日目は30日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。2人の激闘が続く。【松浦隆司】