東京都は12日から8月22日まで、4度目の新型コロナウイルス緊急事態宣言期間に入る。感染再拡大を踏まえ、お盆や夏休みの人流を抑制したい考えだが、「宣言慣れ」も懸念され、効果は不透明だ。11日、観光客でにぎわう東京の下町・浅草は昼から酔客でにぎわった。通称「ホッピー通り」こと公園本通りには生ホッピーや生ビールをゴクゴクと豪快にあおる昼飲み族が大挙して押しかけた。

「こうやって飲めるのは11日が最後だからね」「東京五輪は自宅でテレビかぁ」「12日から緊急事態も4度目、飲まないとやってらんない」とヤケ気味で乾杯を繰り返す。中には「内緒でお酒の飲める店だってあるでしょ。そういうところを探すよ」と、酒を求める声も上がったが、ホッピー通りの居酒屋「浅草なつの」夏野丈太郎店主(49)は「12日から8月22日の期限まで休みます。とにかくコロナを封じないといけない。他の店主さんも悩みに悩んで店を閉めると…ここが踏ん張りどころです」と唇をかみしめる。

仲見世通りの土産物店では「もうこの1年、どうしていいのか分からない中、店を開いてきた。12日からも開け続けますよ」とため息まじり。それでも「日本国内に住む外国人が『国の親戚や友人に送るんだ』とまとめ買いしてくれることもあって、ありがたいね」と、わずかのインバウンドの効果にも感謝する、夕方からはゴロゴロと雷鳴がとどろき、激しい雨に見舞われた。浅草を訪れた人々は、足早に帰路を急いでいた。【寺沢卓】

○…道路占拠で台東区から立ち退きを指導された伝法院の商店街も緊急事態宣言に予定を狂わされた。商店街存続の署名活動も順調で「ニュースを見てくれた人がわざわざ北海道とか九州から訪ねにきてくれる。ありがたい」と浅草伝法院商栄会の西林宏章会長(59)は話す。すでに1万人以上の署名が集まり、早ければ12日にも区に提出するはずだったが、緊急事態発令でいったんは署名提出を見送った。「区とけんかするつもりはない。この署名をきっかけに和解できる点をみつけたい」と西林会長は話した。