将棋の最年少2冠、藤井聡太王位(棋聖=18)に挑戦者の豊島将之竜王(叡王=31)が先勝した、「第62期王位戦7番勝負第2局」が13日午前9時、北海道旭川市「花月会館」で始まった。先後は事前に決まっており、先手の豊島が先手2六歩、後手藤井はいつものようにお茶を口に含むと後手8四歩と、お互いに飛車先の歩を突き合った。

旭川は初めてという両対局者は12日、現地入りに対局場の検分などの前日行事をこなした。両者の対戦成績は豊島が7勝1敗と圧倒的にリード。今シリーズ第1局(6月29、30日、名古屋市「名古屋能楽堂」)も積極的に仕掛けた豊島が、会心の指し回しで圧勝した。

その豊島は、タイトル戦で初めて飛行機による移動を経験した。以前から飛行機に乗ると耳が痛くなる症状があったため、避けていた。一昨年の王位戦第2局を札幌市(「京王プラザホテル札幌」)で行った際には函館市で1泊し、陸路で移動してきた。昨年1月に鼻の骨を削る手術を受けたことで症状が改善した。

対する「鉄道大好き」の藤井は、新千歳空港からJRで旭川というルートを希望した。「北海道内の鉄道に乗る機会を得られて良かった。北海道らしいのどかな風景が車窓から広がって楽しい時間を過ごせた。今回はメジャーな路線。機会があったらローカル線も乗ってみたい」。前日会見では、笑顔を交えながら大一番を前にすっかりリフレッシュした様子だった。

開幕局に黒星を喫した後は、今月3日の棋聖戦5番勝負第3局を制して渡辺明名人(37)に3連勝で挑戦を退け、史上最年少でタイトル初防衛と九段昇段を果たした。同6日の順位戦B級1組で久保利明九段(45)、同10日の竜王戦決勝トーナメント初戦で山崎隆之八段(40)にもそれぞれ勝って、今局を迎える。日程は詰まっているが、「昨年の経験があるので、いいペースでこなせている」と意に介していない。王位初防衛に向け、巻き返しておきたい。

2日制の対局は13日午前9時開始。持ち時間は各8時間で、同日午後6時の時点で手番の棋士が封じ手を行い、初日は終了。14日午前9時に封じ手を開封して、再開される。