自民党総裁選(29日投開票)に出馬した河野太郎行革相(58)は19日、国会内での「リアル地方創生」と称した座談会で、地方の党員票獲得につなげるトークを展開した。「河野太郎総裁選必勝を期す会」として支援を受ける、党員人気の高い石破茂元幹事長(64)、全国的にファンの多い小泉進次郎環境相(40)とそろい踏み。地方を重視する姿勢を強く発信した。

初代地方創生担当相の石破氏は鉄道模型を持ち込み、鉄道マニアの一面もある人物像を押し出しながら「脱炭素、省エネが進む中で、鉄道を使って新しい日本を」とスタート。「鉄道の方が輸送に向いているとして、ヨーロッパでも飛行機から鉄道に変わっている。(地方路線が)赤字だからやめちゃえっていうのは議論としておかしい」と訴えた。

鉄道談義に、河野氏は「夢はシベリア鉄道でシベリア横断したい」。民主化前のポーランドの大学に短期留学した際、実現へビザ申請を試みたが「(当時の民主化運動の)『連帯』のワレサ議長に会いにいってそのまま捕まって、一晩、留置場に。それが影響したのか、申請がおりなくて…」。“透明性”を強調したのか、ワレサ氏に面会し、同氏宅を出た直後に体制側からパスポート不携帯を理由に逮捕されたエピソードまで持ち出して盛り上げた。

小泉氏も「『再生可能エネルギー最優先の原則』で進めている河野さんには『脱炭素は地方創生だ』と言ってほしい」とあおった。

共同通信が17、18日に行った自民党員への世論調査で河野氏は最多支持率の48・6%をマーク。他陣営を大きく引き離した。今回の総裁選は多くの派閥が自由投票となり、議員や地方への締め付けがどこまで効くのかは見通せない。一方で各陣営ともに、地方票の票固め、働きかけが強まるものとみられ、今後情勢が大きく変わる可能性もある。

河野氏は座談会前には、東日本大震災の被災地に関わり続けてきた小泉氏とともにオンラインで福島県の農業や漁業関係者などと意見交換も実施。国会議員票では先行する岸田氏を追う情勢とされる河野氏は、党員の「48・6%」支持の数字に笑顔は見せつつ「100%を狙っていかないと」と警戒を強めた。【鎌田直秀】