自民党の岸田文雄総裁が、衆院選を「10月19日公示、31日投開票」の日程で行う方針を固めたことが4日、明らかになった。複数の国会関係者が明かした。これまで取りざたされていた日程に比べると、異例の「前倒し」となる。

この日、臨時国会が召集されたが、衆院解散は、衆参両院での代表質問を終えた直後の今月14日の見通し。ただ解散から公示までわずか5日しかなく、異例のあわただしさといえる。

当初は「10月26日公示、11月7日投開票」「11月2日公示、11月14日投開票」などの見方が出ていた。結果的に、2週間近く前倒しされた格好だ。

背景について、さまざまな見方が出ている。野党側は、臨時国会で衆参代表質問を終えた後、衆参の予算委員会を開いて与野党の論戦を行うよう求めていた。ただ、この日発足する岸田内閣では、閣僚20人中13人が初入閣となる見通し。ある野党関係者は「国会答弁が厳しそうな顔ぶれも、ちらほらみえる。国会答弁などでぼろがでる前に、選挙に突入してしまおうという岸田総裁の魂胆ではないか」と、指摘した。

また、3日に東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が、国政新党「ファーストの会」の結成を発表。小池氏は出馬しないとしているものの応援に回る可能性があり、与党側は小池氏が応援して劣勢を逆転した今夏の東京都議選の「悪夢」(関係者)のケースがあるため、自民党は小池氏の動きを警戒している。

ファーストの会は現在、候補者公募を行うなど衆院選に向けた態勢がまだ整っていない。また、野党でも、各党の選挙協力が完全に整ったわけではない。岸田氏にとっては、こうした「新興勢力」や野党の準備が整う前に、解散総選挙に打って出ようとする戦略も垣間見え、岸田自民党による「新党つぶし」ではないかとの声も出ている。