史上最短12日間の選挙戦も3日目に入り、東京18区では因縁の師弟対決が過激にヒートアップしている。立憲民主党の菅直人元首相、自民党の長島昭久元防衛副大臣の事実上の一騎打ちとなった同区は、菅氏の1980年の初当選からの地盤。そこへ旧民主党時代の愛弟子の長島氏が自民党公認の「刺客」として東京21区から国替え出馬した。

21日、長島氏はJR武蔵小金井駅前の街頭演説で「(18日の公開討論会で)相手の方から『あんたは前の選挙区、捨てたんだろ』というご指摘を受けました」と皮肉り、応援に入った甘利明幹事長の前で「私(し)の思いを捨てて、公のためにこの選挙区にまいりました。相手の方にも、そういう『私の思い』は捨て、正々堂々と公を争ってもらいたい」と菅氏を批判した。

菅氏も黙っていない。長島氏は90年から3年間、自民党の石原伸晃元幹事長の秘書だったが「『ぜひ民主党でやらせてくれ』と言ってきた。東京21区は私も一生懸命(長島氏を)連れて歩いた」と明かし「一番問題なのはお世話になった有権者に対する冒涜(ぼうとく)だということ。裏切ったという自覚を、しっかり持たないといけない」と激しく応戦する。

長島氏は旧民進党時代の17年に共産党との選挙協力を批判して離党。17年総選挙は希望の党から東京21区に出馬し、自民党候補(落選も比例復活)を破って当選も、希望の党が翌年解散。東京21区からの転出を条件に19年6月に自民党に入党し、20年1月、選挙区が東京18区に決まった。長島氏は「(国替えは)自分で選んだ道じゃない」とした上で「(菅氏は)『裏切り者』『恩知らず』『恥知らず』の3点セットだ」と猛反論。「向こうがストリートファイトに持ち込まれるのであれば、こちらもストリートファイトで戦う」とエスカレートする。

東京18区では05~17年の5回の衆院選で菅氏と自民党の土屋正忠元衆院議員の熾烈(しれつ)な「土菅(どかん)戦争」が続いた。今回も報道各社の序盤情勢は「接戦」で、75歳の菅氏は「長島に引導を渡されるわけにはいかない」(関係者)と死守する構えだ。22日には毒舌で知られる麻生太郎副総裁が長島氏の応援に入る予定で、火に油を注ぎそうだ。【大上悟】