挑戦者の藤井聡太3冠(19)が豊島将之竜王(31)に連勝した、将棋の第34期竜王戦7番勝負第3局が30日からの2日制で、福島県いわき市「雨情の宿 新つた」で行われる。今回は、東日本大震災から10年の復興事業として誘致された。福島県では昨年の第3局を飯坂温泉「吉川屋」で予定していたが、挑戦者の羽生善治九段(51)が体調を崩して入院したため中止となっていた。

対局前日の29日、両者は現地入りした。同市小名浜にある観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」で魚市場を見学し、新鮮な魚介類をPR。10年前に被害を受けた東日本大震災の展示見学などを行った後、対局会場の検分を行った。続いてファンや関係者が出席して行われた「前夜祭」に登場した。

第3局に向けていい状態で臨めることを最優先にしてきたという藤井は、「ら・ら・みゅうの隣にある水族館『アクアマリンふくしま』も訪れてみたい。新鮮な海の幸を見ていると、おなかがすいてきそうだった」などと、地元ファンを笑わせた。対局については、「しっかり集中して、ファンの方に楽しんでいただけるような熱戦にしたい」と決意を表明した。

第2局の反省と序盤の研究、ほかの対局をこなして体調を整えてきた豊島は、「福島といえばフルーツが有名なので、おやつを楽しみにしています」とリップサービス。対局については、「自分なりに精いっぱい指して接戦にできれば」と話していた。

藤井が3連勝して、竜王初奪取と史上最年少4冠まであと1勝とするか、豊島が1つ返すか。注目の大一番は30日午前9時から藤井の先手で始まる。