将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=18)が4日、トップ棋士を集めて都内のスタジオで行われたインターネットTV「ABEMA」の番組収録後、会見に応じた。

9日から開幕する「第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第1局」(静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」)で、渡辺明王将(名人・棋王=37)に挑戦する。大一番を前に、仕事始めの場で意気込みも語った。

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初めて出る冬のタイトル戦に向け、藤井竜王に手抜かりはない。「ふだんなら正月はのんびりするところですが、王将戦に向けた準備をしてきました」。6~11月に登場したこれまでのタイトル戦と違い、厳冬期仕様の戦闘服(和服)が必要となる。「一式、新しく取りそろえました」と明らかにした。

昨年10月から始まった竜王戦7番勝負は4連勝。11月半ばに決着した。これが対渡辺戦の研究、体力面で幸いするかもしれない。「12月は対局が少なく、王将戦に向けての時間があった」との言葉が物語る。

7月19日でハタチとなる。大人の階段を少しずつ上っている。それを「家族に頼っていた身の回りのことが少しずつ自分でできるようになったり、ほかにもできなかったことができるようになるのが、前進している感覚」と表現した。

一昨年、史上最年少で棋聖と王位を獲得した。昨年はその2冠を防衛し、叡王と竜王も奪取した。将棋界で8つあるタイトルのうち、一気に4冠となったことに「これだけ早く半数のタイトルを取るとは思わなかった」と、進化のスピードに日本将棋連盟の佐藤康光会長(52=九段)も驚いたほどだった。

第1局の掛川市では渡辺王将は6戦負けなし。藤井より前に会見に応じた渡辺は、今年の正月は旅行も行かず、研究に時間を費やしたという。「年々若い人が出てくる。自分の将棋が古くなる実感はある。それを踏まえてどういう戦い方でやっていくかがテーマ」と話した。

「作戦巧者」と相手を評する藤井にとっては、アウェー戦。1日制の棋聖戦5番勝負での対戦はあるが、2日制7番勝負は初めてでもある。「勢いよく戦えればと思っています」。現在のエネルギー補充度は8割以上。開幕時に100%に持って行く。【赤塚辰浩】

○…収録に参加していた羽生善治九段(51)は昨年、タイトル戦とは無縁だった。獲得通算99期のまま足踏みした。「1つのタイトル戦で頑張ってチャンスをつかんでいくのが大事。昔の蓄積がそのまま生きる訳ではない。今の将棋に適応して地力をつけて、地に足をつけて1歩1歩前に進むことでつながっていく」と話した。現在、リバウンドをしないダイエット法も研究中。「分かったらお知らせします」と笑っていた。