東京・上野動物園で12日朝、双子のジャイアントパンダの一般公開が3日間限定で始まった。新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、同園は11日から月末まで臨時休園だが、既に観覧抽選結果が発表されていた12~14日の3日間(各日最大1080人)については、各日2時間、当選者に限ってパンダ母子の観覧のみを実施することになった。その後の観覧は未定で、昨年6月23日の誕生から待望された公開は、異例の形となった。

3日間の観覧抽選倍率は平均348倍、初日は335倍。幸運な当選者は観覧の時間帯が決まっているが、初日は午前5時から受付を待つグループもいた。観客は午前10時から順次、西園「パンダのもり」の屋内展示室で、雄シャオシャオ、雌レイレイと対面。観覧時間は1人1分ほどだが、かわいい盛りの姿に満足の笑みを浮かべていた。初日の来園者は817人だった。また海外メディアも9社が取材に訪れ、高い関心を物語った。

母親シンシンとともに、初めて観客を迎えた双子は特に驚く様子もなく、いつも通り木に登ったり、ササで遊んだり、活発に動いていたという。同園は公開に向けて、人声や物音に慣れるためにラジオを流したり、年末年始には、同園のスタッフが観客役となって展示室前で手を振ったり歩いたりするなど、観覧練習を続けてきた。

双子は順調にすくすくと成長しており、体重は11日=202日齢時点でシャオシャオが14・6キロ、レイレイが14・4キロになっている。性格はシャオシャオはやんちゃなようで、レイレイにちょっかいを出したりしており、レイレイは我関せずでマイペースという。

一番乗りしたグループの1人で、見事に当選し最初に対面した東京都練馬区の川添尚子さん(55)は「すごくかわいくて感動しました。お姉さんのシャンシャンにそっくり。感染拡大でもしかしたら延期かなと心配したので、見せていただいて本当に感謝です」と話した。横浜市の6歳と5歳の姉妹は「ふわふわで、かわいかった」と声をそろえて喜んでいた。

同園は、今後の観覧抽選については再開園が決まり次第、知らせるとしている。多くのファンには、対面はしばらくお預けとなった。同園教育普及課の大橋直哉課長は「園にとって双子は初めての経験でしたが、職員は精いっぱい頑張ってきました。中国のご協力もいただきながら、無事にここまできたのはうれしく、ほっとしています」とし、「(双子は)練習も重ねてきたんですが、今回こういった形での公開となったことは非常に残念」「感染が落ち着いたら、多くの方に見ていただきたい」などと話していた。