将棋の第34期竜王戦を制し、史上最年少の4冠となった藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)の就位式が24日、都内のホテルで行われた。前日23日までの2日制で、大阪府高槻市「山水館」で行われていた第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第2局で渡辺明王将(名人・棋王=37)を下したばかり。一夜明けて上京し、お祝いの席に出席した。

今期竜王戦は昨年1月29日、ランキング戦2組初戦で阿久津主税八段(39)を下すと、勢いに乗って同組優勝。決勝トーナメントも勝ち上がり、初の挑戦権を獲得した。豊島将之前竜王(31)との7番勝負も4連勝。約10カ月かけて無傷で頂点にのし上がった。

2016年(平28)12月、加藤一二三・九段(82)とのデビュー戦(第30期竜王戦6組初戦)の当時はまだ中学生。学生服で対局に臨んだ。式で祝辞を述べた師匠の杉本昌隆八段(53)によると、「学生服でいいでしょうか」と相談したという。

翌17年にかけて行われた6組、18年の5組、19年4組、20年3組、21年2組ですべて優勝という竜王戦史上初の快挙も演じた。ただし、17年から20年まで進出した決勝トーナメントは途中で敗退していた。約5年でここまで到達した。

謝辞で藤井は、「今まで以上に上を目指したい気持ちが強かった。ランキング戦と決勝トーナメントは、1手1手しっかり考えることができました。7番勝負は最高峰の舞台で戦える喜びを感じました。中盤の形勢判断の課題を突きつけられた第1局、終盤が非常に難解だった第4局が特に印象に残っています。4連勝は望外で、自分の実力以上のものが出せたシリーズだった」と述べた。

式での来賓祝辞では、昨年の東京パラリンピック車いすテニス金メダリストで、対談で知り合った国枝慎吾(37)がビデオメッセージを寄せた。これに応ずるかのように、「世界のトップで活躍されている国枝選手を見習い、今後より一層精進して参りたい」とも話していた。【赤塚辰浩】