17年6月、東名高速で一家4人が死傷した事故で危険運転致死傷罪などに問われた石橋和歩被告(30)の差し戻し裁判員裁判の初公判が27日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれ、石橋被告は「自分は人が事故になるような危険な運転はしていない」と無罪を主張した。弁護側は「刑事責任を負う人はこの法廷にはいない。石橋さんは犯人ではない」と全面的に争う構えをみせた。

検察側の冒頭陳述によると、石橋被告はパーキングエリアで駐車をめぐって静岡市の萩山嘉久さん(当時45)に「じゃまだ。どけ」と罵倒され、逆上。萩山さんの妻友香さん(同39)が運転するワゴン車を追跡し、4回あおり行為を繰り返して追い越し車線に停止させた。そこに後続の大型トラックが追突し、萩山さん夫妻は死亡、子ども2人が負傷した。

横浜地裁は18年12月、懲役18年の判決を下したが、東京高裁は19年12月、地裁は公判前整理手続きで危険運転致死傷罪に当たらないとしながら、その後、見解を変更し、判決で危険運転致死傷罪の成立を認めたのは「被告や弁護側に対する不意打ち」で、違法な訴訟手続きだとして判決を破棄。裁判やり直しを命じた。

検察側は予備的訴因として監禁致死傷罪も挙げているが、石橋被告はこの日、「監禁したつもりはない」と否定。弁護側は冒頭陳述で「交通法規を無視した大型トラックの無謀運転による追突事故」と主張した。公判は今後、トラック運転手、萩山さんの子ども、車に同乗していた石橋被告の交際相手の証人尋問や被告人質問などを行い、2月18日に結審する。判決は3月16日を予定している。【中嶋文明】