2017年6月、東名高速のあおり運転で一家4人が死傷した事故で、危険運転致死傷罪などの問われた石橋和歩被告(30)の横浜地裁(青沼潔裁判長)の差し戻し裁判員裁判は14日、石橋被告の被告人質問を予定していたが、急きょ、延期となった。

横浜地裁は今月3日に被害者夫妻の長女Aさん、4日に石橋被告の車に同乗していたMさんの証人尋問を行ったが、弁護側の反対尋問は行われなかった。弁護側は「訴因が変更されている以上、Aさん、Mさんに対する反対尋問が必要」と抗議。横浜地裁が受け入れ、被告人質問の前に反対尋問を行うことになり、この日の公判はわずか3分で閉廷となった。

石橋被告をめぐっては、横浜地裁は18年12月、懲役18年の判決を下したが、東京高裁は19年12月、公判前整理手続きで危険運転致死傷罪に当たらないとしながら、その後、見解を変更して、横浜地裁が危険運転致死傷罪の成立を認めたのは「被告や弁護側に対する不意打ち」で、違法な訴訟手続きだとして判決を破棄。裁判やり直しを命じる異例の経過をたどっている。