東日本大震災の被災地・宮城県女川町で20日に開催予定だった「おながわ春のまつり2022」実行委員会は17日、前日16日夜に東北地方で発生した、最大震度6強の地震の影響を考慮し、中止すると発表した。

「2022年3月20日 日曜日に開催予定でした『おながわ春のまつり 2022』は、3月16日水曜日の深夜に東北地方を襲った最大震度6強の地震の影響と今後数日間は余震の心配があり、参加されるお客様の安全を考えて、中止とさせていただきます」

おながわ春のまつりは、11年に発生した東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた、女川町の復興を目的に、震災発生翌年の12年から19年まで開催されてきた「女川町復幸祭」の意志を引き継いだイベントだ。20年春に新型コロナウイルスの感染が拡大し、従来通りの開催が困難な状況となったが、コロナ対策の徹底を含め、3年ぶりの開催に向けて準備を進めてきた。

目玉ゲストとして、21年大みそかのNHK紅白歌合戦に出場し「エヴァンゲリオン」企画で「残酷な天使のテーゼ」を歌った高橋洋子が出演し、ライブを行う予定だった。またHTBの人気バラエティー「水曜どうでしょう」のエンディングテーマ「1/6の夢旅人」や08年の大ヒット曲「手紙~親愛なる子供たちへ~」などで知られる、シンガー・ソングライター樋口了一らの出演も決まっていた。

実行委員会は

「2012年から毎年3月に実施してきた女川町復幸祭を継ぐものとして、新型コロナウイルスへの対策をとったうえで、3年ぶりの開催を目指し、町民一丸となって準備を進めてまいりましたが、しばらくの間、余震が予想されること、また何よりも全国からの参加者やゲストとしてお招きする予定だった歌手やタレントの皆さんの主たる移動手段である鉄道や道路にも被害が発生し、移動そのものも難しくなっていることから、苦渋の決断を致しました」

と、余震の危険性に加え、ゲストや観客が移動するための、公共交通機関への深刻なダメージも考慮したと説明した。

また「津波が来たら高台へ逃げる」という、東日本大震災に伴う津波避難の教訓を後世に伝承するための年中行事として、19日に開催予定だった「津波伝承復幸男」も、同様の理由により延期するとした。

実行委員会は、鈴木康仁委員長の名で「女川町では、今後も皆様に楽しんでいただけるイベントを企画・開催していきたいと考えております。改めての機会に、また皆様をお迎えできるよう力を尽くしてまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます」と呼び掛けた。