16日午後11時36分ごろに発生した、福島県沖が震源で最大震度6強を観測した地震から一夜明けた17日、各地の甚大な被害が明らかとなった。福島、宮城の両県で計3人が死亡し、ケガ人は12県で160人超。宮城で死亡した1人についても、警察などが地震との関連を調べている。鉄道は運転見合わせ、高速道路でも通行止めが相次いだ。最大の震度6強の福島県相馬市では建造物の倒壊など被害が続出。

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相馬市を訪れたのは、東京五輪聖火リレーを取材した昨年3月26日以来だった。スタート地点の相馬中村神社で、甲冑(かっちゅう)をまとった宇多郷騎馬会によるホラガイ演奏は記憶に新しい。当時は沿道応援自粛は呼びかけられていたものの、トーチを手にする走者も笑顔や、盛り上げる拍手など、華やかな雰囲気は感じられた。

だが、この日は一変。中心部の相馬駅周辺でさえ、歩く人の姿はほとんどなし。墓地の墓石が倒れ、シャッターを閉めた商店や飲食店だけでなく、窓ガラスが割れたコンビニエンスストアも異様な雰囲気。日没後、暗闇に包まれる中、休業の「道の駅そうま」駐車場にレンタカーを駐車させていただき、、この原稿を書いている午後7時40分すぎにも、震度3の地震で、車ごと揺れた。

常磐線特急が午前中は運休。東北新幹線も那須塩原までしか運転しておらず、都内から常磐道を北上してたどり着いた。常磐富岡IC以北は通行止め。下道を走り、南相馬市に入ると家屋や塀の倒壊が相次ぐ。いきなり訪れる道路の亀裂に、1度だけ車体が浮いた。相馬中村神社境内で無邪気にボールを蹴る子どもたちに囲まれた時だけは、ホッとひと息つけた。だが、周囲を見渡せば、悲痛な現実があった。【鎌田直秀】