ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで民間人の遺体が多数散乱する街の様子が公開され世界を震撼(しんかん)させる中、ウクライナの女性議員が自身のツイッターにナチスを象徴する「かぎ十字」のマークが刻まれた女性の遺体の写真を投稿して衝撃を与えている。

レシア・バシュレンコ議員(35)は、「レイプされ、殺された女性の拷問された遺体。言葉がない。私の心は怒りと恐れと憎しみでまひしている」とコメントを添え、腹部にかぎ十字と思われる焼き印を押された写真を投稿した。

同議員はその後の投稿でロシア兵はウクライナで略奪し、レイプし、殺害していると主張。「かぎ十字の焼き印を押された女性。ロシアとロシアの男たちがやったこと。不道徳な犯罪者の国」とツイートして、怒りをあらわにしている。

同議員はこの投稿以外にも破壊された街や遺体を運ぶ人々の様子などもツイートしており、複数のロシア兵がテレビや高級品などの略奪品を郵便局から自国に送る様子をとらえた監視カメラの画像なども投稿するなど数々の戦争犯罪を告発している。

ウクライナの検事総長はロシア軍による5000件の戦争犯罪を調査していることを明かしているが、同議員は「残念なことにもっとあります」ともツイートしている。

4日にブチャを訪問したウクライナのゼレンスキー大統領は、数千人が殺害され、拷問されたと述べ、「女性は子どもたちの目の前でレイプされた上に殺害された。このようなことはテロリストがやることと何ら違わない。動物以下の扱いだ」と怒りをにじませ、「ジェノサイド(大量虐殺)」だと訴えている。

ロシア政府はこれらの主張を「フェイクニュース」だと否定しているが、欧米メディアは人工衛星画像をはじめとする複数の証拠を基にロシア側の主張には矛盾があることを指摘している。

ブチャでは「ロシア軍は手あたり次第民間人を無差別に射殺していた」「アパートにいた50歳以下の男性は皆殺しにされた」「タトゥーを確認すると言って全員を裸にし、脅威と見なされた者は無言で撃ち殺された」など生存者の生々しい証言も次々に明るみとなっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)