昨日の敵は、今日もヒーローに。17イニング連続パーフェクトを継続中のプロ野球ロッテ佐々木朗希投手(20)を高校時に撃破した岩手県強豪私立の監督たちが23日、今日24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)を前に「完全試合」「1試合19奪三振」「13者連続奪三振」を、さらに超える飛躍も期待。現在の球児にも好影響を与えていることも強調した。

2年秋の県大会準決勝で、4長打を含む10安打を浴びせて勝利した盛岡大付の関口清治監督は、佐々木対策をもっとも徹底した1人だ。当時、「ローキ君」と命名した打撃練習用マシンを導入。設定可能な最速は、なんと175キロ。一時はマウンドの6メートル前に設置し、速球を目と体になれさせた。12年夏に花巻東の大谷翔平(現エンゼルス)攻略に一役買った最速158キロのマシン「オータニ君」に続く新仕様は、同校の佐々木レガシー(遺産)だ。

「今もローキ君を使っているし、それが普通の練習になった。『この子を打たないと』というモチベーションが向上につながる。大船渡に倣って力を付けた公立高校も多い」と言及した。昨夏甲子園2勝の原動力となった強力打線も「ローキくんのおかげです」。佐々木の快投には「体が出来て、ボールをしっかり操れるようになった」と制球力を最大要因に挙げた。

同3位決定戦で3連打と押し出し四球で逆転勝ちした専大北上の及川将史監督も「大谷くんもそうですが、佐々木くんを目標にする選手が多い」。花巻東との3年夏の決勝の不出場敗戦にも触れつつ「当時の同級生の気持ちも含めて、勇気を与えてくれていると思う」と大ブレークを喜んだ。

一関学院の高橋滋監督は「正直、体が追いついていない中で(高校時代に)あれだけの球を投げていた反動で、プロではもうちょっと苦労するかなと思っていた」。大谷に続き「また岩手から次元の違う子が出てきた」と胸躍らせる一方、「生徒たちも『可能性は秘めている。負けていられない』となっている」と相乗効果を感じている。

大谷や佐々木攻略の試行錯誤が礎となり「岩手代表=全国の強豪」の図式が形成されつつあることは確か。想像を超えていく佐々木の描くわだちは、故郷の球児の道しるべとなっていく。【鎌田直秀】