北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)=19トン」が遭難し、11人が死亡、15人が行方不明となった事故で、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の桂田精一社長が27日、記者会見を開く。会見は午後3時半から行う予定で、乗客の家族に向けた説明会も同日行う。国土交通省の関係者が明らかにした。

関係各所から求められた会見は事故発生から5日目に行われることになった。関係者によると、桂田氏は出港に至った経緯や船との通信状況のほか、船体に亀裂があったとの疑いについてなどを話す予定。事故当日の出港判断について桂田氏は「私はいけると思った」と述べており、乗客の家族は十分な説明を要求していた。

桂田氏は25日から1日3回開かれている家族に向けた説明会に初回のみ参加。同席した馬場隆町長は26日、「(社長は)どこまで説明できていたか何とも言えない。歯切れよくお話ししていたわけではない」と振り返った。馬場氏によると、桂田氏は事故発生からこれまで、家族や報道陣に向けた状況説明の準備中で「今しばらく時間を下さい」と町に伝えていたという。馬場氏は「『悠長なこと言っている場合じゃないんだぞ』という話もしている」と明かし、準備の内容については「(船を)検査したのか、修理したのか。これまで疑問に思われるようなことに回答できる資料が一定程度あるのではないかと思っている」と述べた。

一方で、馬場氏は初回の説明会で言葉足らずだった桂田氏の様子について「申し訳ない気持ちなど、さまざまな気持ちが交錯していた中で、ご家族と相対しなければならず、平常な(気持ちの)部分がとれていなかったのだと思う」と話した。【沢田直人】