永瀬拓矢王座(29)への挑戦権を争う、将棋の第70期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦、大橋貴洸(たかひろ)六段(29)隊藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=19)戦が6日、大阪市「関西将棋会館」で行われた。午前10時から始まった対局は、午後9時49分、129手で大橋が勝利。藤井の6冠挑戦を阻むと同時に、準々決勝進出を果たした。

藤井と同じ2016年(平28)10月デビューの大橋が、またしても「藤井キラー」ぶりを発揮した。激戦から詰み筋を読み、確実に寄せ切った。「難しい将棋でよく分からなかった」。終局後、淡々と振り返った。

17年3月に行われた新人王戦、棋王戦予選と連敗した後、同年11月の棋聖戦予選、18年1月王位戦予選、20年6月王座戦2次予選決勝に続き、今回と4連勝。藤井の快進撃を封じた。準々決勝は、佐藤康光九段対千田翔太七段の勝者と戦う。「次もしっかり指せたらと思います」。

藤井にとって、王座戦は「鬼門」らしい。デビュー1年目こそ1次予選、2次予選と突破し、挑戦者決定トーナメントもベスト4まで進んだが、斎藤慎太郎八段に敗れた。斎藤はこの年、王座を獲得した。

シードとなり予選を免除された19年は佐々木大地六段に挑決トーナメント初戦で敗退。20年は棋聖と王位のタイトル戦挑戦を目指していた合間で、大橋に2次予選決勝で敗れた。タイトル保持者として予選シードとなった昨年も、深浦康市九段に敗れた。

今年敗れた大橋(対戦成績2勝4敗)も含め、斎藤4勝3敗、佐々木2勝2敗、深浦1勝3敗と、全員に複数回負けている。