山口県の阿武(あぶ)町が、新型コロナ禍対策の臨時特別給付金10万円をめぐり、対象の463世帯分に相当する計4630万円を誤って町内の男性(24)に振り込み、返還を求めて提訴した問題で、男性が「金は海外の複数のインターネットカジノで全部使った」などと説明していることが17日、分かった。

男性の代理人弁護士が認めた。町側は、金の流れ、使途の解明や、回収に全力を尽くす構えで、刑事告訴も検討している。前代未聞の誤給付問題は、一層混とんとしてきた。

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▽若狭勝弁護士(元東京地検特捜部副部長) 男性からお金を取り戻すには、民事裁判で勝訴判決をもとにして、お金を差し押さえることが必要です。お金が残っていなければ、取り戻すのは難しいです。男性は詐欺の一種である電子計算機使用詐欺罪に問われる可能性が最も高いです。窓口などで銀行員をだます詐欺罪に対して、電子計算機使用詐欺罪は、スマホなどを利用して口座間でお金を移す詐欺です。その他、ATMからお金を引き落としたのならば窃盗罪に問われます。その他、横領罪の可能性もあります。さらに、代理人弁護士が明かしたようにネットカジノでお金をかけていたの事実なら賭博罪、常習的ならば、常習賭博罪に問われます。