立憲民主党が提出した岸田内閣と、細田博之衆院議長に対する不信任決議案は9日の本会議で、いずれも自民、公明などの反対多数で否決された。共産、社民両党は立民に同調したが日本維新の会と国民民主党は岸田内閣の不信任決議案に反対し、採決を退席するなど対応は割れた。参院選(22日公示、7月10日投開票が有力)を目前に野党間の溝が鮮明となった。

立民の泉健太代表は「我々の姿勢を示すことができた。岸田内閣は信任に値しない」などと強調した。今回の不信任決議案の提出には与野党から「茶番劇」、「パフォーマンス」など批判が広がった。泉氏は「議会手続きを軽視する大変、残念な言動。正当な意見表明の場であって、それをやゆしたり批判するのは議会としてあるべき姿じゃない」と反論したが、「果たして意味があったのか」などと立民の中堅議員からも疑問の声が漏れた。

維新の会の馬場伸幸共同代表は「昨日の朝に泉代表から電話があり、『不信任決議案を出します』と、ただそれだけなんです。なぜ出すかということは一言の説明もないまま、とにかくよろしくと。中身が分からない問題については賛同することができない」と不信感を募らせた。その上で「前例、慣例で今日のような不信任決議案を出して、独りよがりの政治をしているのが立憲民主党。夏になれば盆踊りをするように会期末になれば不信任決議案を出す。そこに何の緊張感もない。無意味な時間の消費は止めて欲しい」と痛烈に批判した。れいわ新選組も「季節行事と化した不信任案には付き合わない」と両不信任決議案の採決を棄権した。

両不信任決議案の採決は野党が立民、共産、社民のグループに対して維新、国民が一線を画すことが浮き彫りに。参院選を目前に2016年、19年と32ある改選数1の「1人区」で候補者を一本化した野党共闘の枠組みも変貌する。今回、1人区での一本化は現状で11選挙区にとどまる。複数人区では野党候補が激しく戦う構図が予測され、「自民1強」を、さらに利する気配が広がる。