18歳女子学生に飲酒させたなどと一部週刊誌に報じられた吉川赳衆院議員(40=比例東海)が自民党を離党して一夜明けた11日、静岡県富士市にある地元事務所では早急な対応に追われた。

離党に伴い、6月22日公示、7月10日投開票が有力な参院選自民党公認候補との2連ポスターや、党の名前が入った事務所の掲示物などの撤去作業に追われた。離党を受けてもなお、与党幹部らから出処進退を問う声も上がり、静岡県民からも批判の声が相次いだ。

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参院選を目前に、吉川氏のポスターが、次々と消えた。午前中から関係者が複数の車に分かれ、静岡選挙区で自民党公認候補の若林洋平氏(50)との2連ポスターを撤去。富士市事務所担当者は「とにかく今は選挙前でもあるので、若林さんにご迷惑がかからないように…。2人並んだポスターがたくさんあるので、今日、明日はその撤去作業をやらないと」。背広姿の男性が、両手で抱えるほど大きい板に設置されたものも多かった。

疑惑が報じられたことについて「本当にバカなことをしました。脇が甘いです。応援してくれている方々にも申し訳ない」と無念の表情も浮かべながら、事務所内外も片付けた。吉川氏のポスター、のぼり、看板だけでなく、緑色の「自民党」と記された垂れ幕も撤去。午後には事務所だと分からないほどに様変わりした。

関係者によると、吉川氏は党本部と相談しながら謝罪や事実関係を説明する会見なども検討中だという。妻と2人の娘がいる立場としても、イメージダウンは必至で、参院選への影響も避けられそうにない。公示まで、あと2週間弱。若林陣営の関係者も「影響はあると思うけれど、何と言っていいのか…。こちらは出来ることをやっていくしかない」と困惑している。

吉川氏は衆院の静岡5区の自民党公認候補として、細野豪志氏と4度戦い4連敗の苦戦を続けてきた。12年は比例復活、14年は落選。17年は落選も19年に比例東海ブロックの自民党議員の辞職で繰り上げ当選、21年は比例復活したが、選挙後には細野氏が自民党入党。吉川氏は離党で、さらに追い込まれた形だ。吉川氏のポスターが消えた同区内には、細野氏と若林氏の2連ポスターが残っている。

JR富士駅近くで買い物中の60代男性は「事実なら人間として悪質ですし、個人的には議員を続けるべきではないと思う。自分から決断してほしい」と語るなど、地元有権者からも厳しい声があがった。離党はしたものの、参院選への影響を最小限に抑えるため、与党幹部らからも、議員辞職を含めた出処進退の検討を求める声も出ている。

改選2議席の静岡は、現職で無所属の平山佐知子氏、山崎真之輔氏に加え、共産党の鈴木千佳氏、NHK党の舟橋夢人氏、堀川圭輔氏、参政党の山本貴史氏も立候補を予定している。【鎌田直秀】