東京・築地の波除神社で疫病退散を祈願する、約360年続く「築地獅子祭」の本祭が12日、4年ぶりに実施された。沿道は大勢の見物客でいっぱいになった。

獅子祭は7丁目まである築地を5つの町会に分け、3年ごとの輪番制で獅子祭を取り仕切る。各町会は最初の2年で裏祭、最終年に本祭を開催する。裏祭では神輿(みこし)は短いコースをまわるが、本祭では神輿だけではなく重量約1トンの獅子頭「天井獅子」(通称・大獅子)が路地の多い築地をくまなく巡行する。

前回の本祭は2018年だった。本来であれば3年周期の本祭は昨年実施のはずだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で20年の裏祭が中止となったことで、本祭が今年にズレ込んでいた。

今年の本祭開催も直前まで中止や延期を含めて議論されたが、神輿と大獅子を担がずに台車に乗せることで密にならないように配慮した。沿道からは「担ぐ人の掛け声が響かないのはちょっと寂しいね」「久しぶりのお祭り、にぎやかでいいね」など、さまざまな声が飛び交った。

築地町内を巡った大獅子は本来ならば獅子殿に戻されるが、獅子殿の基礎部分の老朽化で13日から長期の改修工事に入る。戻ってきた大獅子は基礎のしっかりした本堂入り口に奉納される。

波除神社の宮司は「大獅子が本堂に、どでんとにらみをきかせる光景は珍しいですね」と話した。工事終了の今年10月ごろまで大獅子は本堂に鎮座することになる。【寺沢卓】