第26回参院議員選挙(22日告示、7月10日投開票)は16日、事実上の選挙戦に突入した。通常国会閉会から一夜明け、各党幹部が立候補予定者の応援に駆けつけた。岸田文雄首相の支持率も安定し、自民1強の様相で結束力が弱まった野党は選挙区で共倒れも予測され、結果次第では野党再編へと揺れ動く。今日17日からスタートする連載「乱戦の夏 2022参院選」の第1弾は、過去最多の立候補予定者が見込まれる乱立の神奈川選挙区をクローズアップする。

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神奈川選挙区は改選数4と同時に非改選の欠員1を補う異例の合併選挙で、当選4+1の枠に、これまでに20人が出馬を表明し、過去最多だった1983年と98年の15人を上回る見通しで、まさに乱立模様だ。自民党神奈川県連会長の小泉進次郎前環境相は「複雑で難しい選挙」と危機感を募らせる。

自民は16年に100万票以上を獲得してトップ当選し、3選を目指す三原じゅん子氏に加え、新たに浅尾慶一郎元衆院議員を公認した。自民党が神奈川選挙区で2候補を公認するのは98年(当時改選3)以来、24年ぶりだが98年は共倒れに終わっている。98年には候補を擁立していなかった公明党は16年は2位当選の三浦信祐氏も再選を目指す。

三原氏は「自民党唯一の現職の議員として何としても、この議席を守り抜く」と強調し、22日には菅義偉前首相が3カ所連続でマイクを握るなど「三原推し」にフル回転する。一方の浅尾氏も国政復帰を目指す。だが、自民党県議は浅尾氏を「天敵だった」と名指しする。自民党公認候補2人が共倒れとなった98年参院選のトップ当選は当時民主党の浅尾氏。09、12年総選挙はみんなの党で比例復活で当選。14年総選挙は無所属で当選し、17年と21年衆院選は自民党党籍ながら無所属で出馬するなど毎回、自民候補と争ってきた。県連幹部は「しこりは取れていない」とした。

今回の非改選の欠員1は昨年夏の横浜市長選に日本維新の会の松沢成文参院議員が出馬、失職したことによる。4位までは任期は6年だが、5位の任期は3年。任期6年の4位以内を目指す松沢氏は、前神奈川県知事として全国に先駆けて受動喫煙防止条例などを制定した実績と知名度を生かし、「手応えは悪くない。5位は避けたい」と街頭活動を展開する。

立憲民主党は現職真山勇一氏の辞退に伴い、元宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員の水野素子氏、元県議の寺崎雄介氏の2人を擁立した。だが、当初から県連幹部は「共倒れの可能性がある」と懸念を示し、今月上旬に党本部で一本化調整を行ったが不調に終わった。地元のベテラン国会議員は「今回が自分の選挙でなくて良かった」と本音を漏らす。さらに連合神奈川は立民の水野氏と、国民民主党の公認で出馬予定の深作ヘスス氏の2氏を推薦(寺崎氏は推薦外)とし、連合票も分散しそうだ。

共産党の浅賀由香氏は16年、19年と次点5位で落選したが「低投票率なら組織票で浮上する可能性はある」と他陣営は警戒感を強めている。社民党の内海洋一氏、NHK党が新人4人、諸派新人らも立候補を予定し、乱戦の夏に突入する。