将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=19)が22日開場する名古屋駅前に建つ複合商業施設「ミッドランドスクエア」25階の名古屋将棋対局場の「こけら落とし対局」に登場し、史上最年少の「名人ロード」をスタートさせる。

地上約120メートルの日本一の高さに位置する常設の対局場の窓からは名古屋城などが一望できる。地元・愛知で藤井が新しい歴史を刻む。公式戦を行う常設の対局場としては東京の将棋会館、大阪の関西将棋会館に続き、3カ所目となる名古屋将棋対局場の内覧会が21日、行われた。トヨタ自動車が将棋文化の発展のため、名古屋オフィス25階の会議室フロアの100畳超の一室を無償貸与した。真っさらな畳84・5枚が敷き詰められ、将棋盤、駒、駒台など置かれ、準備は整った。

名人挑戦権獲得に向けた順位戦A級1回戦で、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(52)と対戦する。藤井にとってA級は初舞台だ。

6月11日に名古屋で行われた叡王防衛祝賀会。「1年かけて戦っていく上で1回戦は大きな意味を持つ。しっかり臨みたい。対局場がどんな感じなのかも楽しみ」と意気込みを語った。今期、挑戦権を獲得し、来年4~6月に開催予定の名人戦で渡辺名人から名人位を奪取すれば、谷川浩司17世永世名人が83年6月に達成した21歳2カ月の史上最年少名人獲得記録を更新する。

A級に参加する全員がタイトル戦経験者だが、世界のトヨタの後押しが心強い。愛知県在住のため、これまで順位戦では、東西の会館を使うことが大半で、当日中に帰宅できないケースが多かった。今期、藤井は開幕戦を含めて順位戦6局が名古屋対局となる。移動や宿泊の負担が大幅に軽減され、「名人ロード」に地の利を得た。【松浦隆司】